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転写 (生物学) : ウィキペディア日本語版
転写 (生物学)[てんしゃ]

転写(てんしゃ、Transcription)とは、一般に染色体またはオルガネラDNA塩基配列(遺伝子)を元に、RNA(転写産物''transcription product'' )が合成されることをいう。遺伝子が機能するための過程(遺伝子発現)の一つであり、セントラルドグマの最初の段階にあたる。
== 概要 ==
転写は膨大な種類のタンパク質RNAを必要な時期に必要な量を正確に合成するための重要な代謝過程である。この重要で難解な作業を成功させるために、生物遺伝子を活用する。遺伝子は安定DNA塩基配列で記録され、生物はそれと同じ配列のRNAを合成することができる。これが転写であり、例えばtRNAなどが転写される。また遺伝子(とそれを写し取ったRNA)の中には特定のタンパク質に対応するものもある。遺伝情報に基づいてタンパク質を作ることを、その遺伝子を発現 expression するというが、その前段階として特に転写は重要である。
タンパク質を合成するために必要なRNAは伝令RNA(メッセンジャーRNA messenger RNA:mRNA) であるが、その合成過程はによって大いに異なる。原核生物ではmRNAを転写することができるのに対し、真核生物は転写で作ったRNA(一次転写産物 primary transcript )にPre-mRNA スプライシングなどのさらなる段階を経なければmRNAを得ることができない。真核生物におけるmRNAを特に成熟mRNA、成熟する前のRNAをmRNA前駆体と呼ぶ。また、転写から直接合成するRNAを転写産物 transcription product と呼ぶ。
一般に転写には開始伸長終結の過程があり〔、また開始にいたるまでに様々な転写調節因子が転写の活性化や抑制に関わっている。近年はクロマチン構造を通しての転写制御機構が注目されている。基本的な機構はあらゆる生物で共通しているが、各ドメイン(生物を分類する最上位階級)ごとの違いはやや大きい。真正細菌細胞質中で転写を行い、転写機構も単純である。一方、真核生物は、転写を細胞核内でのみ行い、多数の酵素が関る複雑な機構を使っている。最後の古細菌は、細胞質中で転写を行う点は真正細菌と同じだが、転写機構そのものは真核生物に類似している。
転写産物はRNA合成酵素RNAポリメラーゼ RNA polymerase (DNA依存性RNAポリメラーゼ DNA-dependent RNA polymerase )により合成される。この酵素はssDNAと結合すると、それと相補的なRNA鎖を合成する〔。したがって、RNAポリメラーゼが結合する方を鋳型鎖''template strand'' または転写鎖(-)鎖、もう片方は非鋳型鎖 nontemplate strand あるいは非転写鎖;(+)鎖である。また、転写産物が(-)鎖と相補的であるからその塩基配列は(+)鎖に等しい。よって、(+)鎖こそが遺伝情報を保持しているといえ、コード鎖 coding strand またはセンス鎖 sense strand (センス=意味)ともいう。それにちなんで(-)鎖をアンチコード鎖アンチセンス鎖 antisense strand という。ただし、転写産物と(+)鎖は完全に同じ存在というわけではなく、(+)鎖におけるチミンは転写産物でウラシルに置き換わっているし、DNAとRNAという違いも忘れてはならない。
DNA上のどこからどこまでを転写の範囲とするかは(-)鎖の塩基配列により決まっており、この範囲を転写単位 transcription unit としてオペロン operon という。細菌のDNAには数百のオペロンがあり、真核細胞では数千のオペロンを持つ。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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